2018-06-17

夢の宇宙誌

澁澤龍彦「夢の宇宙誌」を読んだ。

ひたすらに部分を志向し、分化を続ける、真面目で古典主義的で労働的な固定化の流れの行く末には、壊死しかない。

部分ではなく全体を志向するバロック的で遊び的な逸脱によって、その収束過程から飛躍し、未分化を経て別の分化へとメタモルフォシスする。その夢想したもうひとつの分化形態、貝殻のようなユートピアに、自動人形、天使、アンドロギュヌスが戯れる、球体の完全性をみる。

既存の判断基準に絡め取られた末の壊死を避ける衝動的な飛躍こそ、生殖本能ともセクシュアリティとも区別される、「こちら」の拡張としての愛欲の本質なのだろう。

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