2014-02-23

ソチ

ソチ五輪フィギュア女子フリーで浅田真央のみせた演技は圧巻だった。
滑りきった後、天を仰いでむせび泣いた様は、メダルをとる以上に
人々の思い出に残っただろう。
実況解説もだまったあの十秒あまりの時間に、浅田真央の集大成が
つまっているなと感じた。

長崎旅行2014③

2014/2/14〜2014/2/16 長崎

【2/16(日)】
最終日、7時過ぎに目を覚ます。
脚は痛いが思ったほどではない。

朝食を済ませ、9時頃にチェックアウト。
実はまだ今日のルートが決まっていない。
軍艦島に行くか行かないか。それが焦眉の問題だ。

大きな荷物をホテルに預け、取り敢えずオランダ坂の方へ歩き始める。
途中、インターメディアの設計したガソリンスタンドを覗いた。

東山手一体の洋館を見つつ、十人町の方へ抜ける。
十人町では迷路の様に家の間を坂が駆け巡っていて、
坂の中に家が立っているような場所だ。実に面白い。

海星高校のあたりや6軒の東山手の洋館を抜けて
石橋の電停あたりまでおりる。
グラバースカイロードという斜行エレベータに乗り、南山手に突入。
南山手には猫が多い。
グラバー園に第2ゲートから入ろうかとも思ったが、
祈念坂を抜けて大浦天主堂の方へ回る。
大浦天主堂の入り口にて偉大な背中その3。
旧羅典神学校を抜けてグラバー園へ。
グラバー園へ至るルートとしてはこれが良いんじゃないかと思う。

グラバー園を一通り見て回りながら、世界遺産登録を目指すパネル展示で
小菅修船場跡を知る。歩けそうなので次はここに行こうと決める。
日向ではまた猫が寝ている。

グラバー園を出てグラバー通りを南へ。
ロシアコンスイ坂をのぼり、ドンドン坂からおりる。
途中にロシア領を発見。

大通りまでおりて、道沿いに10分くらい歩くと
小菅修船場跡が見えてくる。
特に観光地っぽくはなっていないが、かつて船を曳き出すのに
使われていたレールの質感が、海に向けて変化して行く様子がまことに良い。

バスで市民病院前まで戻り、中華街へ。
江山楼本店でお昼を食べようとするが、混んでて待ちそうだったので
先に出島を見ることにする。このとき多分13時半頃。
前回来たときは出島は跡地の説明板だけだった気がするので、
だいぶ様変わりした感じだったが、あまりのテーマパーク感と空腹感のため
あまり覚えていない。

江山楼本店に戻り、長崎ちゃんぽんの特上を食べる。うまい。
既に15時くらいなので、夕陽をどこで見るかを軸にルートを
フィックスしなければ。
元々今回は行けないかと考えていた浦上のあたりにも行くことにして、
平和祈念像→浦上天主堂→爆心地→戻ってきてお土産購入→松が枝ターミナル
の順に回ることに決めた。
そして江山楼に地図を忘れた。

出島の電停から松山町まで市電に乗車。
平和公園までのぼり、平和祈念像と対面。偉大な背中その4。
浦上天主堂、原爆公園を見て回る。
再び出島まで市電で戻り、グラバー園の坂の下のお土産屋さんの並びへ。
既に17時を回っているのでグラバー園は閉園しており、
お土産屋さんもそれほど人は多くない。
福砂屋と岩崎本舗でカステラと角煮まんじゅうを購入。
大トロ角煮まんじゅううますぎ。

松が枝国際ターミナルに行くと、今日は夜にコンサートがあるようで
ミュージシャンたちがリハーサルをやっている。
中を一通り見て回り、外では夕陽を写真におさめる。
なかなか心地の良い場所だなと思った。

ホテルのあたりまで歩いて戻り、白井晟一の設計した親和銀行大波止支店を
見に行く。小振りだが端正な建物だ。
その後ホテルで荷物を引き取り、18:13大波止バス停発の空港行きの
バスに飛び乗り、一時間で空港へ。

空港に着くと案の定大雪の影響で発着が遅れている。
レストランで念願のトルコライスにありつき、長崎に別れを告げる。

2泊3日で25kmくらい歩いたので、ずっと歩きっぱなしの旅だったが、
久々の個人旅行は非常に楽しめた。
誕生日に買った単焦点レンズを使うのが主目的だったが、
存分に力を発揮してくれたと思う。

2014-02-20

長崎旅行2014②

2014/2/14〜2014/2/16 長崎

【2/15(土)】
ソチ五輪フィギュア男子フリーを寝ぶっちした翌朝、
目覚めると7時半過ぎ。
意外と早く起きられたと思いながらシャワーを浴びて
朝食バイキングへ行くと、思いの外混んでいて
少しロビーで待たされることに。

ちょうどロビーには今日行く予定にしていた
出津教会などを含む長崎県の教会の写真集が
置いてあったので手にとってみる。
昨日の夜にランタンに溢れる街を散策しながら
入った書店でも長崎の教会をまとめた本を
見てみたが、出津のあたりには他にも大野教会堂と
黒崎教会がありそうだ。

朝食を食べ終え、9時6分長崎駅前発のバスで一路外海へ。
(後でわかったが、ホテルの目の前のバス停からも
同じバスに乗れたっぽい。)
天気は上々、バスの乗客は少ない。

●大野
バスに揺られること小一時間、大野のバス停に到着。
朝食後、歯を磨きながら読んでいたウェブサイトを信用して
ロクに場所を調べずに来てしまったが、
取り敢えず看板の指す方に歩き出す。
ここで今回の長崎旅行で唯一の雨に降られる。

5分くらいで大野教会堂に到着。当然観光客など一人もいない。
ド・ロ様壁で建てられた小さな住宅のようだ。

ここで写真を撮りながら思ったが、撮りたいと思う絵に
幾つか傾向がある。

角から回折した光が漏れている様子、太陽の半逆光による照り、
逆光で黒く潰れた被写体、、、
今回の旅行は偉大な背中を撮ろうと決めた。

大野教会堂の近くには案内板が出ているのでなるほど道には迷わないが、
大平作業所跡まで1km半、バスチャン屋敷跡まで3km弱。
歩くしかない。

雨で濡れたアスファルトが朝の半逆光に照らされる道をひた歩く。
土曜の朝だからか人も車も全く通らない。
遠くでとんびがピーヒョロロと啼く以外に生きていることを感じさせる
ものは一切存在しない。
いつの間にか伊藤計劃のハーモニーに出てきたスイッチが押されたのかもな
と思えるような、のどかさとも孤独感ともつかない感じにつつまれる。

大平作業所跡は予想通りの廃墟感を帯びていた。
ここに至る小道に唐突に現れたみかんの木が良い雰囲気をつくるのに
一役買っていると思う。
既に屋根は崩れ落ちているため、壁の上が歩ける。
壁の上に立ち、ここから落ちて打ちどころが悪くて死んだら誰にも
気づかれないだろうなという想像が頭をよぎり、大人しく下りることにした。
夕陽の時間帯に来たいなと思える場所だった。

そこからさらに1km半歩く。さっきよりもさらに田舎感が増してきて、
大野のバス停まで戻るのが面倒なのでこのまま出津まで歩きたくなってきた頃。

バスチャン屋敷跡は10m2にも満たないくらいの小屋だった。
旅行前に読んだ遠藤周作の沈黙でロドリゴたちが潜んだ小屋を想起させる。
小屋の中は本当に真っ暗で、入り口の扉を開けていないと空恐ろしさを覚えるくらいだ。
せっかくなのでオラショを覚えてる限り独唱してみた。
――パライゾの寺にぞ参ろやな
モキチが十字架の上で叫んだ節を歌うと涙が出る。

屋敷跡に続く道を戻り、舗装路に出たときに目にした明るい景色。
それすらも望めず、鬱蒼としげる木々の間にひっそりと沈んでいた
キリシタンを思うと、この暖かい土曜の昼の日差しが何とも言えず
贅沢なもののように感じられた。

案内板によると出津まで3.5kmくらいだったので、大野に戻る必要もなく、
そのまま出津まで歩く。
途中、牧野公民館のあたりでおばあさんたちに声を掛けてもらった。
ゲートボールに誘われたが丁重にお断りして、出津はこっちであってますかと
確認したり、埼玉から来ましたと言ったり。
こういう地元の人との何でもない話ができると、この旅をして本当に良かったなと思える。
おまけに最後には甘古呂餅まで頂いてしまった。
この後結局15時頃まで何も食べずに歩き続けることになったので本当に助かりました。
とってもおいしい甘古呂餅でした。

●出津
しばらく道なりに行くとド・ロ神父のお墓が見えてくる。
偉大な背中その2を写真に納める。
そこから割とすぐに出津教会に到着。
大野教会堂でも思ったが、入り口前の白い壁で囲まれた空間への
光の差し込み方がすごく好きだ。

ド・ロ神父記念館と出津救助院が近場にあり、当時の資料の展示などが
されている。記念館で一番目を引いたのはなぜかタップだった。

救助院ではスタッフのおじさんにひとしきり案内をして頂いた。
鉄骨の耐震補強がされていたが、補強前の納まりが恐ろしく簡素で、
地震国でよくこんな納まりにしたなという感じだった。

救助院を出たところで観光客の一団とすれ違う。
そういえばガイドブックに土曜日はツアーがあるようなことが
書かれていた気がした。

歴史民俗資料館には寄らず、近くにある沈黙の碑に立ち寄る。
碑に刻まれた言葉には、ぞっとする迫力を感じる。
どうやったらこんな言葉が紡げるのだろう。
「人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです」

●黒崎
記念館でもらった地図を見ると、道の駅を経由して黒崎教会まで歩けそうだったので
引き続き歩く。
途中遠藤周作文学館に立ち寄り、展示を観賞。
併設されたカフェで遅い昼食にド・ロ様パスタを食す。
道の駅は素通りし、黒崎教会まで突き進む。
途中に伊藤一長元長崎市長の墓があったのでお参りした。

黒崎教会は今日訪れた教会の中では一番教会然としていた。
ステンドグラスも嵌められていて、夕陽の間接光がステンドグラスを
通して入ってくる様子が何とも神聖な雰囲気をつくりだしていた。

道の駅まで戻って夕陽が沈むのを眺める。
このとき17時を回ったところなので、1時間くらい眺めていたことになる。

生憎西の空は快晴ではなかったが、雲間から漏れる、いわゆる
エンジェルラダーという現象に立ち会えた。
今日一日歩きまわったキリスト教世界を思うと、かえって快晴であるよりも
合っていたかもしれない。
18時6分日没。

18時32分のバスまで少し時間があったので休憩所に立ち寄る。
天井が高く、意外と響きが良かったのでまたオラショを歌う。
相変わらず人はいない。

●稲佐山
夕陽をとっている最中にカメラの電池がなくなってきており、
昨晩充電しなかったことを激しく後悔する。
このまま夜景を見に行こうか一旦充電しに戻ろうか悩んだ挙句、
直接見に行くことにした。
宝町でバスを降り、淵神社まで10分ほど歩いてからロープウェイで山頂へ。

ちょうど満月の夜で、夜20時前の東の空に昇り始めている。
新世界三大夜景の一翼を担う街と同じ方角なのでフレームへの納まりが良い。

●晩御飯
トルコライスを食べたいと思ってホテル裏の洋食屋に行ってみたが
やっていない。ウェブサイトだと23時までやってるはずなのに。

仕方なく浜町の方まで足をのばすと、アーケードでは昨日まで飾られていた
ランタンを撤収している。
トルコライスを探して浜町を2周したが見つからない。
結局福山雅治氏行きつけの思案橋ラーメンでバクダンチャンポンを頂いて
満腹になってホテルへ帰る。

明日は市内をひたすら歩く予定なので、今日の疲労が残らないかを心配しながら就寝。

2014-02-16

長崎旅行2014①

2014/2/14〜2014/2/16 長崎

【2/14(金)】
20時前、長崎のホテルに到着、荷物を置いた後
長崎ランタンフェスティバル最終日に出かける。
県庁前通りを抜けて浜町から新地中華街に入り、
中華街を3往復くらい。
2往復目に角煮まんじゅうを買って食べ歩き。
これがまた角煮がやわらかくうまい。

街中にランタンが釣られていて、ところどころに
大きな人形や動物の形をしたものも置いてある。
湊公園では踊りも催されていたが、そこに飾られた
祭壇はかなりショッキングである。
ロウソクとランタンに囲まれた中に子豚一頭と
数多くの豚の頭部が祭られている。全部本物らしい。

浜町アーケードを抜けて眼鏡橋のあたりへ足をのばすと、
川辺には干支のランタン、水面には鶴や鯉のランタンが
飾られている。

公会堂前から桜町を通り、晩ご飯を食べる店を探しながら
駅前を超えてホテル方面へ。
ホテルの裏の洋食居酒屋でトルコライスを食べようと
思ったが、丁度閉店するタイミングだったようで。
仕方なくホテル横のラーメン屋でチャーシュー麺を食べて
ホテルに帰る。

ソチ五輪フィギュアスケート男子フリーを見ながら寝落ち。
翌朝目覚めると羽生くんが金メダルをとっていた。
おめでとう。