2018-06-14

文明

直接コミュニケーションを取って判断基準を共有することを「見知る」と表現すると、文明とは、見知らぬ人間同士が間接的に判断基準を共有することで密集した状態だと言える。

その判断基準の共有は、国家などの間接的なコミュニケーション機構によって媒介されており、それによって文明人は、至近距離の見知らぬ相手から危害を加えられる可能性に目をつぶることができる。

見知らぬままの赤の他人とどこまで物理的に接近できるかは、文明化の一つの尺度になり、満員電車や渋谷の交差点などは最高に文明的だと思うが、目をつぶった危害の可能性は、決してゼロにはならない。

危害の可能性の端的な発露である通り魔の蔓延は文明の病であるが、その対策を間接的なコミュニケーション機構だけに頼る解決方法の先にはディストピアしかないように思われる。しかし、至近距離の相手と見知ることによって危害の可能性を減らすという選択肢が閉ざされつつある現状では、それ以外に選択肢があるのかは大いに疑問である。

No comments:

Post a Comment