2018-06-14

主客のハーモニー

一体だったsujetとobjetを対立させたのは、近代の発明だろうか。

近代的なsujetはobjetのひっかかりによって維持されるため、sujetはobjetをひたすらに蒐集する。そのひっかかりとは、sujetとobjetを内と外として峻別する膜のことであるように思う。

伊藤計劃「ハーモニー」で、御冷ミァハは後天的に意識を実装したと描かれるが、本来はすべてのsujetが、言語や文化、常識などの膜によって後天的に獲得される。多くのsujetは、そのことをほとんどの時間において忘れているだけだ。

そのことを束の間強制的に思い出させるかのように、sujetとobjetを隔てる膜を消し去るハーモニー・プログラム。その是非を判断する役目は、何が担えるだろうか。

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