2011-12-31

zeitgeist

googleのZeitgeist2011が良い。


今年は本当に色々あった気がする。
いや、色々あったというのは気のせいで、
衝撃的なことが幾つか起こっただけと言ってしまえば
それだけかもしれない。

3月11日に医科研の食堂で見た津波の映像は二度と
忘れられないだろう。

震災にあった土地では、そこに刻まれた記憶が幾つも
失われただろう。
今回の震災に見舞われたこともまたひとつの記憶だ。
1868年の明治三陸地震の時に比べれば、現代の記録技術は
飛躍的に向上している。
不変な記憶というものは想像しがたいが、記録として残す努力は
できる。それが残された記憶のできる、失われた記憶への
精一杯の報いとなるだろう。


ウサマ・ビンラディン、スティーブ・ジョブズ、金正日。
今年はまた、多くの記憶を残した人々も他界した。
個人的には児玉清、デニス・リッチー、ジョン・マッカーシー、
伊良部秀輝、立川談志、柳宗理らも並べたい。
10月にジョブズとリッチーとマッカーシーが亡くなっているのは
コンピュータ史にとっては象徴的だろう。

個人が亡くなる悲しみは筆舌に尽くしがたいが、
それは個人とは何かがよくわからないことに起因しているのだろう。
It's quite hard to describe grief following the death of someone,
which reflects our ignorance about what is "an individual".

失われるのは思考回路だ、と犀川がどこかで言っていた気がする。
What is lost is the way of thinking, which is the line by Saikawa, I guess.
物であれば記録できるのに、物の運動や物と物との関係の、
何と記録しがたいことか。
文字、音声、映像…。結局のところ、物に落とし込まないと記録できない
不自由さ。

シナプス間隙を行き交うイオンや電子の流れの中に、
個人という幻想を見いだせる個人。
果たして私は私を認識したのが先だったろうか、他人を認識したのが
先だったろうか。

個人とは何かについて答えを出すには疑問が多すぎる。
いや、疑問が多すぎて個人とは何かに答えを出せない、だ。
there are too many questions to answer on what is "an individual".


兎にも角にも、今年もまた除夜の鐘が、寒空に鳴り響くこと百八つ。
before "you" go any further,
the bells on New Year's Eve resonate over the cold sky, counting up to 108, as always tonight.

2011-12-20

office

新事務所の写真。

※画像はイメージです、英語で。
cf. / 未来とはfutureだ、英語で。


2011-12-13

nowhere man

IT企業が過疎地へ向かう
http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/?date=111208_1

「すべてがFになる」だったと思うが、犀川のセリフに、「人間が移動しないことが一番のエネルギーの節約になる。いつか人と会うことが贅沢になるだろうね。」という趣旨のものがある。


震災が起こった日の帰りあぐねる人々や、節電のために苦心の上に築かれたであろう運行ダイヤを見るにつけ、今のシステムを維持するのに莫大なエネルギーを要しているのだなと感じる。


ネットさえ繋がっていれば仕事をするのに事欠かないという人種は着々と増えているだろう。自分がいつどこに生きていても変わらない世の中になろうとすることに抵抗するかのように、今日も人々は自己を発信するのかもしれない。

クラウド化が声高に叫ばれる中で、最終的に人はどこまでネットの海に潜れるだろうか。行き着く先は人形遣いか、笑い男か。

――― Seeking for Nowhere Land rather than Neverland





2011-12-11

call-over and circuit not to ail


如何でか杯を
    乾さざらむ
今宵ばかりの
    味と思へば
Not blame you for emptying a glass.
As this taste arises just for tonight.
(和泉式部: 理や いかでか鹿の なかざらむ 今宵ばかりの 命とおもへば)

ことわざで言うと、転ばぬ先の杖。
今日しか飲めない酒があるなら、どうして飲まずにいられよう。
それがいつか心の支えになるなら。

call-over and circuit not to ail
病を患わないための点呼と電気回路
http://stepup.yahoo.co.jp/english/listening/index.html?tx=Y2FsbC1vdmVyIGFuZCBjaXJjdWl0IG5vdCB0byBhaWw=



2011-12-08

numerical models

宗教は単純化指向の最たるものの一つだろう。

科学は客観性を唯一神に据えた一種の宗教としてもふるまえるが、
それは宗教であることから免れようともがいているようにも見える。

ヒッグス粒子が発見されたかもしれないというニュースが出ているが、
多くの物質がヒッグス粒子の波に揉まれて光速に辿りつけず、
質量を背負っているという見方もまた、単純化の一つだろうか。
いや、案外数式に落とし込めるくらいには、実際に単純なのかもしれない。

そうやって世界をモデル化して得心しようとする行為の、
何と役に立たないこと。
そこに意味を見いだせるとは、何と人間的だろう。
How `useless' it is to model this world in such a way to `understand' it !
How `humanly' they are as they find meaning in it !

―――数奇にして模型を再読して。
―――そして、John Lennonを偲んで。