2017-11-28

リアリティのダンス

アレハンドロ・ホドロフスキー「リアリティのダンス」を観た。

思い出す、夢見るという行為は、記憶となった過去を現在へと
再投影することであり、一種のバックプロパゲーションである。

一次視覚野から高次視覚野への順伝播によってモデル=記憶=過去が
形成されるとともに、高次視覚野から一次視覚野への逆伝播によって
モデルと入力の誤差が確認され、モデルが調整される。
このプロセスは、何かを視認するときに常に起こっているものだが、
同じことが過去と現在の間や、ある人間と別の人間の間といった、
コミュニケーションが成立するあらゆる場所で起こっているように思う。

リアリティとは、順伝播と逆伝播のコミュニケーションを介してモデルが
調整されながら、コンセンサスがその都度確認されるプロセスである。
現実は、コンセンサスが得られることによって立ち上がる。
コンセンサスが得られている様を現実と呼んでもいいくらいだ。
An At a NOA 2016-11-28 “現実

この映画はホドロフスキーが提示する一つのモデルであり、それが
フィクションなのかノンフィクションなのかということはあまり
問題ではないように思う。
ホドロフスキーの記憶、今のホドロフスキー、ホドロフスキーの家族、
映画を作った人間、映画を観た人間といった様々なもの同士の
コミュニケーションの中で、色鮮やかに提示された一つのモデルが
軸となって生じる躍動が、リアリティのダンスなのではないか。

No comments:

Post a Comment