2017-11-29

趣と面白さ

国も里も故郷も両親も面影になる。大事な「おもむき」は
みんな面影になりえたんだと思う。それが「おもしろし」
ということだったんだと思います。
田中優子、松岡正剛「日本問答」p.101
「面白し」というのも、面貌が白いというのではなく、
目の前がふわっとあかるくなるという意味ですよね。
同p.101
笑い遊びと同じように、「趣」や「面白さ」もまた、
記憶に支えられている。
記憶とは、意味付けや理由付けをするたびに更新される
物理的身体と心理的身体の抽象特性である。
どちらかと言えば、趣は物理的身体の影響を、面白さは
心理的身体の記憶の影響を大きく受けるように思うが、
もちろん両者の影響はない交ぜになっているだろう。

記憶が固定化も発散もせず、二つの身体が生命らしく
壊死と瓦解の間で抽象している状態が、趣や面白さに
つながるのだと思われる。

記憶は、狭いよりも広く、堅いよりも柔らかくした方が、
より多くの趣や面白さを感じられるはずだ。

No comments:

Post a Comment