2017-10-26

語るボルヘス

J・L・ボルヘス「語るボルヘス」を読んだ。

「書物」「不死性」「エマヌエル・スヴェーデンボリ」、
「探偵小説」、「時間」の五つのテーマを通して語られるのは、
解釈と同一性についてである。

書物はひもとくたびに変化するのです。
J・L・ボルヘス「語るボルヘス」p.28
不死性は他人の記憶の中、あるいはわれわれの残した作品の
中に生き続けることなのです。
同p.51
われわれのかなりの部分は自分の記憶によって作り上げ
られています。そして、そうした記憶の大部分は、忘却
によって作り上げられているのです。
同p.113
スヴェーデンボリの照応の理論やポーの探偵小説というのも、
彼らが生み出した解釈である。

そうした記憶し忘却する解釈の過程がさまざまにある中で、
物質としての本、肉体、絶対時間などがよすがとなって、
その都度見出される同一性が、作品、わたし、現在だろうか。
私とはいったい何者なのでしょう?
われわれ一人ひとりとはいったい何者なのでしょう?
われわれはいったい何者なのでしょう?
いずれそれを知る時が来るでしょう。
ひょっとすると来ないかもしれません。
同p.129
忘れてしまっては何も残らない一方で、
忘れることで時間が流れる。
不断に忘れられ続ける世界において、
憶えては忘れるという反復によって、
忘れられることに抗うのが生命である。
An At a NOA 2017-07-14 “不断に忘れられ続ける世界” 

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