2018-11-20

対称性

レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル「対称性」を読んだ。

あらゆる保存則の問題を対称性の問題に置き換えたネーターの定理は、革命的と形容するにふさわしい。本書はそんなネーターの定理への敬意に溢れている。

変換に対する系の不変性によって対称性を定義するのであれば、対称性=保存則を見出すのはイデアルによって商環をつくるのと同じである。自然それ自体が対称性をもっているというよりも、認識や理解によって把握するということと対称性とは表裏一体であり、「何かを把握すること」と「何かが対称性をもつこと」には見分けがつかないということ
なのではないかと思う。

何かを把握しているにも関わらず、その把握にどんな対称性が埋め込まれているかに無自覚だった人類は、ネーターの定理によって気付かされた。統一理論の探求は、そんな自己反省の旅なのだろう。

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