2018-11-26

専門家と機械学習

社会を構成する個体のうち、特定少数のものだけを使ってネットワークを構成し、高速かつ高効率な学習を通して判断基準を最適化する。この「効率的な通信網の構築による判断基準の高速な最適化」というのがつまり専門分化であり、そこに参画した個体は専門家と呼ばれる。

専門家集団による知識の醸成過程は、抽象的にはニューラルネットワークを用いて行う機械学習と同じであり、専門知識や専門用語といったものは、この過程を通じて抽出される特徴量のことである。

専門家以外の個体に対しては、特徴量の抽出過程をブラックボックスとしたまま、特徴量を用いて下される判断だけを共有することが、これまでは一般的であったが、社会に余裕が生じるにつれて、速度や効率を犠牲にしてでも、ブラックボックスを開こうとする傾向が現れてきている。この開示請求は、専門家の説明責任という面が強調されることも多いが、要点は専門家と専門家以外の個体間での特徴量抽出過程の共有にあるのだから、双方の変化が要求されるはずだ。

囲碁や将棋では既に始まっているように、専門家集団のノードを人間が担う必然性は段々と減っていく。それを人間に任せておくこと自体をアトラクションとしない限り、置き換えはどんどん進んでいくだろう。

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