2018-11-07

やばい

「やばい」は「普通」からずれている様を意味し、何が「普通」であるかのコンテクストに応じて、その都度意味が変わる。個別の対象と普通の対象の排他的論理和のようなイメージだ。

コンテクストチェックを省略した「やばい」によるコミュニケーションが高速で便利なのは確かだが、コミュニケーション不全を回避するには、文脈が共有できていないことを想定し、別の言葉に置換することも必要になる。何でもかんでも「やばい」と形容することに反発があるのは、この辺りが関係しているように思う。つまりは、急激な文脈変化についていけないことの現れである。

コンテクストに応じて意味が変わる語といえば、指示代名詞もそうである。「やばい」は、暗黙の指示を内蔵した指示形容詞だとみなせるかもしれない。

自分の文脈を固定化したい人間ほど、指示形容詞「やばい」の濫用に頑なに反発する一方で、己は指示代名詞「あれ」に頼りがちという傾向はあるだろうか。

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