2018-04-09

VR, AR, Reality

現実は、入力される情報に応じて構成されるものであり、何らかの意味で「近い」情報のみが選択的に共有されることで、異なる現実が構成される。VRとARとRealityの違いは、距離空間の取り方の違いだと言える。

Realityの場合には、空間的、時間的に近いという物理的な制約によって、共有される情報が決まる。むしろ、Realityを構成する情報のことを、空間的、時間的に近いと認識すると言うべきかもしれないが、その違いはあまり重要ではない。

通信技術が変化することで、物理的には遠かった情報が共有できるようになったり、近かった情報を共有せずに済んだりするようになると、Realityは別の現実へと変化する。それは、新しい「近さ」や「遠さ」が設定されるということであり、現実の変化は距離空間の変化として捉えることができる。蓄音機、印刷、電車、写真、電話、ネットあたりは比較的わかりやすい例だが、眼鏡、耳栓、望遠鏡、顕微鏡、言語なども、現実を変化させる通信技術の一種だと言える。

VRとARの違いを生むのは、変化した距離空間において、Realityの「物理的な」距離空間がどの程度継承されているかということになるが、その閾値は曖昧であり、VRとARとRealityは、「物理的な」距離空間の影響度が小さいものから大きいものへのグラデーションとして捉えるのがよいように思う。

Realityの「物理的な」距離空間に生きる人間と、それ以外の距離空間に生きる人間との間には、「近くて遠い」という感覚が生まれる。それはつまり、不気味であるということだ。距離空間を一致させれば不気味さは解消されるが、別の距離空間の取り方があることを認識するだけでも、不気味さはある程度和らぐだろう。

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