2018-01-10

struo

構造設計をやりたいなら、ものが壊れるところをみなさい、ということを学生のときに教わった。壊れ方や壊し方を知ることが、構造を知ることにつながるのだ。

structureの語源はラテン語のstruere(I build)で、destroyの語源も同じく、de(un)+struere(I build)。construeは言語学の構文解析のことだが、これもcon(with)+struō(build)。construeには「理解する」という意味もあるが、これは適切な構造を与えることが理解することそのものだからだろう。

「壊す」の対義語は「構える」だろうか。構文解析のように、対象に構造を与えることが、つまりは「構える」である。その構造はいつか不可逆的に失われ、ひとまとまりだったものが分離する。その「壊す」過程によってエントロピーが増大し、時間が流れる。忘却と同じである。

「壊す」が忘却関手なら「構える」は自由関手であり、拘束条件の追加による、possibleからrealへの接近、virtualからactualへの接近である。

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