2017-04-06

プロスポーツ

科学の研究が何の役に立つのかという問題は、
プロスポーツは興行なのか競技なのかという
問題に近いように思う。

プロスポーツは観客あってこそ成立するという
意味では興行である。
しかし、何かの筋書きどおりに動くというのは、
演劇のような別の種類の興行になってしまい、
プロスポーツでは八百長と呼ばれることになる。
いくら面白かろうと、それが真剣勝負の競技で
あるからこそ、プロスポーツという興行として
成立し得る。
競技だからこそ興行として成立するし、興行として
収支が合うからこそ競技が継続できるのだ。

科学は、資本主義の名の下にお金が注入されるから
こそ継続できる。
そして資本主義もまた、科学の成果によって無限の
成長という幻想を維持できるからこそ成立する。
この文脈で言えば、研究が役に立つかという問いは
すなわち、その研究は如何にして資本主義に与する
のかという問いになる。

おそらくこの手の質問が嫌いな研究者がいるのは、
なぜ資本主義を前提にしなければいけないのかに
ついて納得がいかないからだと思われる。
資本主義、あるいはもっと一般に、経済や政治と
切り離した科学は可能だろうか。
そもそも、人や物にお金がかかるとはどういうことか。
産官学連携という言葉をかざして、資本主義と科学の
相互駆動を止めないために続けられる努力とは逆行
するかもしれないが、そこを考えるのをやめてしまう
のであれば、研究はすべて産と官に任せ、学は教育に
専念すればよくなってしまうように思う。

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