上記の記事では、年少者が立体視を行うことによる身体への影響が
述べられている。
視力が悪くなるという話ではなく、内斜視を引き起こす可能性があるとのこと。
これが十分有り得る話だと思うのは、「共通感覚論」で中村が言うところの
体性感覚的統合は、各知覚と広い意味での触覚との関係の中で達成されるため、
その関係が変わることで各感覚器官の配置も変わると考えられるからだ。
キャリブレーションにおけるゼロ点がずれるのと同じである。
「共通感覚論」では、視覚情報が上下逆転するメガネをかけた状態で数日間
生活する、逆転レンズの実験が取り上げられていた。
この実験でも、しばらくすると体性感覚的統合が再構成されることで、各知覚の
ずれが解消されるという。そのときに身体的な変化を伴うような記述はなかった。
これは、ある程度成熟した身体が変化するには実験期間が短すぎることに
よるものと思われる。
6歳くらいまでの未成熟な身体は、比較的短時間でもそちらに合わせられて
しまうだけの流動性を備えているということのようだ。
身体で調整可能な場合には身体レベルでの調整も行われ、それが難しい場合には
情報処理レベルでの調整が主になる。ハードウェアとソフトウェアの関係に近い。
これが困ることになるのは、常にVRのかたちで世界を受け取るわけでは
ないからだ。そういったデバイスを装着しない状態をデフォルトに据える
のであれば、身体はそちらに適合しておく方が都合がよい。
逆に、知覚の仕方の変化に合わせて身体をも変えていけるだけの可塑性を
もっているのは、人間に限らず多くの自然物の利点だと言える。
おそらく、ハードウェアとソフトウェアを分離している段階ではそういった
人工物はつくられないだろう。
ないからだ。そういったデバイスを装着しない状態をデフォルトに据える
のであれば、身体はそちらに適合しておく方が都合がよい。
逆に、知覚の仕方の変化に合わせて身体をも変えていけるだけの可塑性を
もっているのは、人間に限らず多くの自然物の利点だと言える。
おそらく、ハードウェアとソフトウェアを分離している段階ではそういった
人工物はつくられないだろう。
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