2017-05-03

19世紀パリ時間旅行

ANAの機内誌「翼の王国」の鹿島茂の連載で知った展覧会、
練馬区立美術館の「19世紀パリ時間旅行」に行ってきた。

鹿島茂氏のコレクションをベースに、19世紀に行われた
パリ改造をテーマにした展覧会なのだが、絵画、写真、
服飾や地図といった展示物に加え、そこに添えられた
説明によって、改造前後のパリが描き出されている。

ちょうど「パサージュ論」をパラパラと読み通している
ところなので、ノスタルジックに描かれる改造前の風景
から、写真、モード、万博といった大量複製の影響が
顕著になる改造後の風景への移り変わりをとても興味深く
楽しめた。
蒐集において決定的なことは、事物がその本来のすべての
機能から切り離されて、それと同じような事物と、
考えうるかぎりもっとも緊密に関係するようになるという
ことである。
(中略)
真の蒐集家にとって、この体系のなかで一つ一つの物は、
その時代、地域、産業や、それの元の所有者に関する
あらゆる知識を集成した百科全書となるのである。
事物の各々を一つの魔圏のうちに封じ込めることこそ、
蒐集家の行うもっとも深遠な魔法である。[H1a, 2]
ヴァルター・ベンヤミン「パサージュ論」第2巻p.9
展覧会というのは、蒐集家による深遠な魔法の一形態である。

図録もとても密度が濃くてよい。
展示替えがあるらしいので、後期になったらまた行こう。

No comments:

Post a Comment