2017-02-27

呼吸

合唱をやっていると呼吸の訓練をすることが多い。

胸でなくお腹に入れるとか、背中に入れるイメージとか
いろいろと言われることが多いが、結局のところ空気が
入るのは肺であり、肺は胸にしかない。
では胸式呼吸と腹式呼吸で何が違うのかと言えば、
吸気時に主に使う筋肉なんではないかと理解している。

吸気には横隔膜、外肋間筋、胸鎖乳突筋、前斜角筋、
中斜角筋、後斜角筋が使えるらしい。
このうち、横隔膜を主に使うものを腹式呼吸、外肋間筋を
主に使うものを胸式呼吸と呼んでいるんではないかと思う。
合唱では腹式呼吸というよりも腹胸式呼吸であることが
多いと思うが、これは両方を使うということだろう。
後ろ4つの筋肉は首周りの筋肉であり、これに力が入ると
声帯にも影響してしまうので、首の力は抜くように言われる。

呼気は基本的には肺の受動的反跳によって行われるらしい。
つまり、横隔膜や外肋間筋から力を抜くと、肺が自動的に
しぼむことで息が吐かれるということだ。
筋肉というのは力を入れるときよりも抜くときの方が圧倒的に
難しいものだが、力を抜く速度をどれだけコントロールできる
かが呼気の要であり、声を安定させるためには不可欠になる。

こういう理屈を考えながらやっている間は、いまいち上手くは
いかないものだが、横隔膜が随意筋であることを知るだけでも
だいぶ感覚がつかめる。
そして、繰り返し試行することで次第に理屈を考えなくても
できるようになり、上達を実感できるようになる。
この理屈を抜く過程は、対象を自然化する過程であり、訓練と
呼ばれる。これは呼吸に限らず制御一般に通ずる考え方であり、
個人的には認知症も同じメカニズムだと思っている。

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