2016-05-08

χの悲劇

「χの悲劇」を読んだ。
Gシリーズも最初は文庫版を買っていたのだが、
ここ3冊くらいはノベルス版を買っている。

懐かしい話がいろいろと出てきた。時系列や人物関係が整理しきれていないけど、自分でやるとなると億劫だな。海月くん目線のシリーズとかやってくれないだろうか。

個人的なハイライトは、島田さんとカイが初めてリアルで会ったシーンでの会話。
でも、気付いたんだけど、私たちって、理由のないものを受け入れない文化に染まっているのよ。
(中略)
そういうのの上に科学というものが築かれていて、私たちはずっと、その科学を信仰しているわけ。その神髄は何かと言えば、物事には説明ができる理由があるってことなの
森博嗣「χの悲劇」p.185
あとは、これを受けるように、エピローグ手前の夢の中。
その問いが、すなわち命なの。
同p.286

メイヤスーの「有限性の後で」の主題である理由律の問題は、個人的には森博嗣の著作で、真賀田四季の思想として触れたのが最初だったと思う。

それにしても、島田さんの能力は凄まじい。ホテルを脱出してから山の中の小屋に4日、沖縄で2日、カナダで1年+3日+3週間+2週間+4週間+8週間+数日+1週間と1日だから、入院するまでおよそ1年と5ヶ月だ。入院からカイが訪れるまで1ヶ月半で、その2週間後に亡くなったとき享年89歳なのだから、事件時には−1歳半だとすると87〜88歳だったことになる。その歳でリアルでもネットでもあれだけ動き回れるとは驚異的だ。

「すべてがFになる」では島田さんは「まだ若そうである」と表現されているので、20〜30代だとすると、それから約60年後の話ということか。あと2作もこの時代のストーリィなんだろうか。


2016-05-09 追記
ミナス・ポリスはつまり、百年シリーズのルナティック・シティということか。森ぱふぇにある年表を参照すると、
 ・1997年、「有限と微小のパン」の時点で島田さんが32歳
 ・2013年、ルナティック・シティ建設
とある。「χの悲劇」の舞台が1997+89-32=2054年であるから、既に建設後のはずだ。カイ=海月及介?はミナス・ポリスのプロジェクトに関わっている。「女王の百年密室」に出てくるカイ・ルシナとは関係あるんだろうか。

そういえば、真賀田研究所にいたという小山田真一のアカウント名はジェリィjellyであり、クラゲはjellyfishである。小山田=保呂草潤平で、保呂草さんと各務亜樹良の息子が海月くんということなんだろうか。同年表によれば海月くんの生年は1979年頃で、そのとき保呂草(34)、各務(39)だからあり得なくはないか。

あと、金さんは飛行機事故で姉を亡くしたと言っているから、金子勇二と同一人物で、奥様がいると言っていたのはラヴちゃんのことだろうか。というか、島田さん以上に西之園萌絵を知っていると言っているんだから間違いないだろう。このとき、金子くんは2054-1991+17=80歳である。

2 comments:

  1. 島田文子さんと金子勇二くん、有パで顔合わせてるのがちょっと引っかかる。
    長女、長男、次男、の順だったら、金子勇一くんという可能性も?

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    1. 「有限と微小のパン」(1997年)と「χの悲劇」(2054年)の間で57年経っており、「金」という名前だけから、80歳の人物(飛行機事故や西之園萌絵の話をする直前まで、国籍も使用言語も不明)と23歳の金子くん同一視するのは、島田さんでも難しいという説明もできるかと。

      可能性としてはあると思いますが、個人的には、複数の箇所の見通しがよくなるようなことがなければ、新しい要素(金子勇一)を入れる必要はないかなと思います。

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