2018-12-05

タコの心身問題

ピーター・ゴドフリー=スミス「タコの心身問題」を読んだ。

少し距離をおいてmindというものを考えるのに、タコはちょうどよいのかもしれない。

神経系の自由度が増加することで、同じ刺激に対して示すことのできる反応の選択肢は指数関数的に増加する。それによって生じる刺激に対する反応の不確定性を、ベルクソンは主観性と関連付けた。

乖離してしまった刺激と反応の不確定な関係の中で繰り返される、判断できない状態と判断してしまった状態の間でのスイッチング。「不安」と「安心」と名付けられるであろう二つの状態の狭間で、「不安」に陥ることを可能な限り回避しようとするのは、複雑な神経系の上に現れる刺激と反応の乖離としての心の運命なのだろう。

あるいは遠心性コピーのように自己の内部において。
あるいはオクトポリスのように自他をまたぐように。
様々な形態のコミュニケーションを介して、心は「安心」を志向し続ける。

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