2018-10-23

人間のように泣いたのか?

森博嗣「人間のように泣いたのか?」を読んだ。

人間の形をしていたり、有機体でできていたり、血を流したり、汗を流したり、涙を流したり、理由を気にしたり。人間というカテゴリの境界は、人間が自分自身と同じと認めることによって決まっていくため、どうしても「人間の形」や「有機体」のように、自己言及が多くなってしまう。究極的には、「人の人たるは、人を人とす」だ。

予め想定していなかった事態への発作的な応答を、「泣く」と表現するのであれば、Bサイドの攻撃も、マガタの一人笑いも、ウグイの涙と同じだろう。それが「人間のよう」であるかの判断の決め手は、応答内容に対して自ら理由付けするか否かだろうか。

Wシリーズはこれで完結。この物語自体が、厨房から出された料理だ。一流の料理人は、料理が冷めないかを一瞬気にして、ぼんやりと月夜の空を眺めているだろうか。

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