2019-06-08

六古窯

よく行く喫茶店で招待券をもらっていたので、出光美術館で「六古窯」展を観てきた。

粘土という塑性体を用いて創造されたかたちは、焼かれることで変形・変色しながら剛性を獲得し、時代と場所を超えて維持される。かたちを留めるだけの固さを得る代償として、脆さとかたち自体の変化を受け入れざるを得ないという、やきもの独特の秩序の在り方。焼成の途中で倒れたことで、横に流れるような釉薬の模様がついた双耳壷に付けられていた、「熟練した作り手でさえもコントロールできない、土と火の格闘」というキャプションが印象的だ。

人工的な制御可能性から免れる、いろとかたち。対称であろうとしながら、不可避的に非対称性をはらんでしまうという随意と不随意の拮抗の中に、対称性・再現性・簡潔性・論理性を追求した先にある「きれいさ」とは異なる、「美しさ」があるのかもしれない。
意図した秩序の実現=固定化=技術性と、意図しない秩序の変容=発散=芸術性のバランス。3Dモデリングと3Dプリンタによる造形過程に、この非対称性の不随意な混入を招き入れることは、如何にして可能だろうか。


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